2010年5月5日水曜日

【タイ情勢】政府の解散日程と今後はどうなる?

日本は今日はこどもの日。こちらタイでも国王即位記念日(วันฉ้ดรมงคล)で祝日です。

祝日ということもあってか、ここバンコクはのんびりした雰囲気のように思います。さて、昨日の赤シャツの議会の解散日程が不明瞭だとのクレームに対し、民主党スポークスマンのブラナット氏は

「首相は9月の14-30日の間の解散を考えている。」と発表してます。

この騒動が早く収まって欲しいのですが、タイのことですからホントに首相の提案したロードマップ通りにコトが進行するかどうかは個人的には疑問に思っています。

そもそも、アビシット首相の任期はまだ20ヶ月程残っているはずですので約4カ月後の9月末に解散すれば16ヶ月の任期を捨てることになります。

前回選挙でもそうですが、地方では親タクシン派であるプアタイ党が強いので総選挙で連立与党が勝てるかどうかはわかりません。

政府の喫緊の課題は赤シャツのラチャパソンからの退去であることは確かだと思いますが、その後の戦略がいまいち分かりません。

昨日は時事通信の報道に若干異議を唱えましたが、産経新聞の分析はよくできてるのではないかと思います。

タクシン派、首相案に同意 全面解決は不透明


一部引用します。

選挙は解散後60日以内に行うことからアピシット政権としては、9月上旬に選挙対策予算を盛り込んだ来年度予算を成立させ、解散する構えのようだ。さらに9月には軍と警察の幹部人事も行われる。一方、タクシン派も予算編成や軍の人事に関与しようと、9月以前に解散に追い込む狙いとみられている。

政府側は解散前に予算の成立と軍・警察の幹部人事を行いたい。赤シャツ(プアタイ党)もそれに手を突っ込んで自派に有利にしたい。ここが今後の展開を考える上で最重要ポイントだと思います。

日本や他の国からすると不思議に映るかもしれませんが、建前としては軍・警察は政府の下にありますが、実質的には軍幹部や警察幹部は政府の指示を正確に履行しないことがあります。簡単に言えば命令を聞かない訳ですが、クーデターという形でこの国の政治に関わってきたことによるのかもしれません。ですから政府と軍幹部・警察幹部の連携が強くないと政府の命令に軍がきちんと従わないということが起こりえます。このため、軍幹部・警察幹部人事はこの国では大きな意味を持ちます。

本日、政府が発表した「9月14-30日の解散」は赤シャツサイドは受入れることができるのか?不明確ではありますが、選挙をすれば勝利する可能性もあるだけに、予算編成権と軍・警察の人事権を天秤にかけ選挙に勝利すればひっくり返せると考えるならこの解散日程を受け入れるでしょう。赤シャツのそもそもの動機は「20カ月後の任期一杯後の解散は待てない」というとこだったのでしょうし、一定の結果ではあるでしょう。しかし、額面通りの「即時解散、総選挙」とい要求を考えると政府側が有利に運ぶ可能性の高い9月14-30日という解散日程は飲めるのかどうか。交渉の落とし所をどこに設定しているかという問題に帰結しそうです。

理論的に考えれば政権を奪取し自派に有利な政策と予算、そして人事を重ねれば良い訳ですがタイの選挙はそれこそ水ものでしょうし勝てる確信があるかないかが判断に大きな影響を与えるでしょう。赤シャツは、資金面でも持ち出しが続いているでしょうしね。

つまり、総選挙において資金面を含めて勝利するという見込み(政府が有利な予算編成をしても勝てる)があれば交渉でゴネるにしても受入れるでしょうし、その見込みが少ないと考えているのであれば受入れないでしょう。

交渉の窓口に着くためのバンコク占拠であり、交渉を有利に進める為のバンコク占拠でもあるという見方もできます。

政府としてはバンコク占拠されてはいても、このロードマップとそこからの若干の妥協をしても総選挙に勝てるという見込みがあると考えるのが理論的でしょう。(もしかしたらホントに追い込まれてる何かがあったりして?)

いずれにせよ、総選挙の前倒しは引き出せた訳ですしここからは如何に自陣営が有利に選挙戦を戦えるか(軍・警察人事を含めた)という条件闘争になるのではないでしょうか。

それが決着するまで赤シャツが自発的に占拠を解くことはないと思います。

さて、ヒトの国の政治を予想してみましたが我国もヒドイですねえ。鳩山がまともではないことは分かっていましたが海兵隊の抑止力を理解していないとか堂々と言えちゃう神経に脱帽です。

昨年8月にマスコミも国民も熱に浮かされたように「民主、民主」といって投票した結果がこれです。民主主義は問題はありますが、最大公約数的な民意を反映させうるシステムであると思います。しかし、それは投票する側もしっかりしているのが前提。

この結果は日本国民が自ら招いたものではないでしょうか。特によくもわからず民主党に投票した人たちは少しばかりこの国の行く末や、ビジョンを考えてみるべきではないでしょうか?もちろんみんな仲良くするなんて幼稚園児でも考えつくレベルではなく。

民主党は政策も政治手法、姿勢も含めて容認しがたいものが私にはありますが、選挙の度に野党を勝たせる投票がはたして正しいのかという疑問もあります。まあ、今回はマスコミも叩かざる得なくなってるってとこなんでしょうが。鳩山と麻生前首相のたたかれかたの違いをみているとやっぱり民主は恵まれてると思いますが、漢字やカップ麺の値段と安全保障問題ではどちらが重要か?いかが思います?

それでは。